一帘梦

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てぃーだイチオシ
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結論は何なんだろう、

なくなったその時も、さい君と会話をするうちに、いつもの陥穽にはまり、上述で言えばタイプ①の、何を言いたいのかわからない長い、長い話に付き合うことになりました。
 ああ、また始まった、結論は何なんだろう、早く終わんないかなあ、と思いながら、僕は半分聞いている振りをしつつ、極めていい加減に相槌を打っておりました。
 さい君の話は、ぐるぐる回るばかりで、止め処なく続きます。

 話の途中で、ふと、さい君がトイレに立ちました。
 「いやあ、これで小休止できるぞ。」
 トイレは、僕らの座っているベンチのすぐ近く、視線の方向にありました。距離にして10メートルに満たないくらいです。僕は、まっすぐに歩いて行きトイレの入り口に消えて行くさい君のうしろ姿を見るともなしに見ながら、すでにかなり長くしゃべっているのに、未だに言いたいことがさっぱり分からないさい君の話から暫時、-飽くまで暫時ですが-、解放されたことを内心喜びました。
 数分後、用を足し終えたさい君がトイレから姿を現し、再び横に戻ってきました。あたりまえですね。
 はあ、試合再開か・・・・と僕はひそかに身構えました。もっとも、真剣に聞く気持ちはあんまりないです。
 と、さい君が言葉に詰まりました。おや、珍しい・・・と思っていたら、出し抜けにこう問いかけます。

 「ええと・・・、で?どこまで話した?」

 さい君はトイレに立ったことで、話の尻尾を失念してしまったようなんです。
 僕は、僕で多少狼狽しました。なぜって、あまり集中して聞いていなかったので、斯様な突然の口頭試問に全く対応できなかったからです。いや、まずい、聞くふりをしていたことがばれてしまう・・・・、あたふた、あたふた。
 しかし、さい君は幸いにも、僕にはあまり期待していなかったようで、虚空を見つめながら、どこまで話したかを自分で思い出そうとしているようです。
 懸命に話の末尾を思い出そうとする妻と、一緒に思い出すふりをしながらただただ妻が自分で思い出してくれるmoonlight
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